社長歳時記 2024年4月

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「ツートンのひとり旅?」

 近所の猫は黒と茶のツートンカラーなのでツートンと呼んでいました。  

 昨年末、ツートンの左頬がパンパンに腫れていたかと思うと、翌日には破 裂した風船のように萎み、頬に穴が開いて口の中が見えるほどです。  

 動物病院に連絡すると塗り薬を渡されたものの、人慣れしていない猫の 傷口に塗れないと騒いでいると、見るに見かねた娘から「私が塗るから父さ んはツートンの気を紛らわせて」とチュール役に任命されました。  

 いくらチュールで気を引いても、逃げ出すと思っていたのですが、救って くれる人間だと本能でわかるのか、娘に大人しく塗られています。  

 1か月ほど経った頃、傷も治り一安心していると、普段は寄り付かない ツートンが珍しく「ニャー」と足にすり寄り、甘えてきました。  

 足元を何度もぐるぐる回ったり、私の後を付いて来る珍しい光景に喜んで いましたが、前より少し痩せたツートンが心配でした。  

 その不安が的中したのか翌日からツートンは姿を見せなくなりました。  猫は最後に元気な姿でお礼に来るといいますが、あれがツートンの別れ の挨拶だと気付いていたなら、もっと優しくしたのにと悔やまれます。  

 ツートンがいなくなり、2か月が過ぎた頃、川棚で黒と茶のツートンカラー の猫が歩いていたので車を停め、慌ててスマホで撮影しました。  

 帰宅し孫に写真を見せると「いやいや尻尾が長過ぎ、顔もイカツイし、猫 が40km も歩く?」と、絶対、人(猫)違いだと笑います。  

 でも私は「尻尾は微妙かも。顔はひとり旅で男らしくなった。 猫は一日 4km 歩くから10 日もあれば川棚に着く。」と希望は捨てていないのです。