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「犬の訓練中？」

　萩城の城跡でボランティアの草刈り作業をしていると、隣の公園で柴犬 が直立不動のおじさんの周りを、勢いよく走り回っていました。 　

　犬にリードは付いていないものの、おじさんを中心にコンパスの円を描く ように、猛スピードできれいに走り回っています。 　

　よく見ると、おじさんは自分の太ももを手で叩きながら「ダメ！ダメ！」と声 をかけている様子から、リード無しでも従うよう訓練をしているようです。 　
　
しかし、おじさんの掛け声の割には、犬は止まる様子もなく、走り回っているだ けなので、思わず「元気の良い柴犬ですね～」と声をかけてみました。 　
　
　すると訓練の邪魔なのか、おじさんは表情を変えず、無言で頷くだけでした。 　

　更に「僕も柴犬を飼っていたけど、リード無しで散歩はできなかったので、良 いですね～」と話し掛けてみたものの、今度も無表情のまま頷くだけです。 　
　
ところが「リード無しでも戻ってくるんでしょ？」と問い掛けた途端、表情が曇り 「ここなら車が来んと思って、初めて放してみた」と弱々しい返事が。 　
　
思わず「えっ！今ってリードを外したものの、捕まえられなくなった状況で すか？」と聞くと、おじさんは溜息交じりで「それいな…」とひと言。 　

　思わぬ返事に一緒に捕獲を手伝うことになったものの、速すぎる犬の動きに 困り果てていると、仲間も応援に駆け付けてくれ、辛うじて捕まえられました。
　
　まさか、おじさんの「ダメ！ダメ！」は、何かのしつけだと思い込んでいたけど、 「ダメ～！（逃げたら）ダメ～！」の意味合いだったとは…。 　

　そんな私も、愛犬のリードが外れた時、慌てて消防団員の友人に出動してく れと電話したら「犬の捜索？マジで言ってます？」と呆れられたな～。