社長歳時記 2025年10月

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「誕生日プレゼント」

 私の誕生日に「食べてほしいものがある」と孫娘がリボンのついた袋をくれました。 礼を言い、そのまま袋をテーブルに置いていると、孫が「今すぐ食べて」と言い出しました。

 そこで袋を開けてみると、お菓子の包装には見えないアルミ製の袋が二つ入っていました。 すると、孫はその袋を私から取り「手のひらを上にして、目をつぶって」と言いました。

 どうやらサプライズのようなので、目をつむって待っていると、そっと手のひらに細長く尖ったものが置かれ、「目を開けていいけど、絶対食べてよ」と孫が言いました。

 その言葉に嫌な予感がしたものの、恐る恐る目を開けると、手の上には5センチほどのゴキブリが。

 少し驚きましたが、よくできたオモチャのようなのでホッとしました。 すると孫は老眼鏡を指差して「もっとよく見て」と言うので、眼鏡をかけて見直してみると、オモチャではなく本物だったので、今度は悲鳴を上げてしまいました。

 「食べ物って言ったやろ?」とつい文句を言うと、孫が「大丈夫!これは食用だから」「そういう問題ではない」と私、こんな調子で話がかみ合いません。

 さらに孫は「みそ汁の中のゴキブリを食べたんだから、食べられるやろ?」と言い、昔、お袋の味噌汁に入っていたゴキブリをうっかり口にしたというアクシデントまで持ち出して、必死です。

 こんなやり取りに、うんざりしていると孫が「じゃあ私が食べるから、じいじも一緒に食べて」と言い出しました。

 面倒になってきた私も、「それならゴキブリの足を一本だけ」と交渉成立となりました。 二人で「せーの」で口に入れ、「噛んで」の合図で歯に力を入れると、焼き魚の焦げた部分のような味がしました。

 とりあえず祖父として約束を果たしホッとしていると、もうひとつの袋から、ゴキブリの二倍はあろうかというタガメが……。
 もう知らん……。