社長歳時記 2025年8月

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「危機一髪」

 夏の犬との散歩は、強い日差しと熱くなった舗装の照り返しで汗だくです。

 そんな暑い日の夕方、翌日が休みなので、汗を流そうと久しぶりにホテルの温泉に行くことにしました。

 階段を上がって待合室を通り、左手にある男湯の入口を入ってすぐの貴重品ロッカーの前で立ち止まっていると、薄暗い脱衣場の奥から誰かがこちらを見ていました。

 私が時計やスマホをロッカーに入れている間も脱衣かごの上から視線を感じました。

 気にしないようにしていたのですが、あまりにも強い視線に耐えきれず、思わず入口の方に目をそらしました。

 すると、くぐったばかりの暖簾が目に入り、すぐに視線の理由がわかりました。 なんと、暖簾は赤色だったのです。

 まさか女湯だとは思いもしなかったので、ずっとこちらを見ているのは短髪の男性だと思い込んでいました。

 ですが、よく見ると湯上がりで髪を束ねた女性のようにも見えてきました。

 とにかく、とんでもない状況だと気づいた私は、小声で「失礼しました~」と言いながら、足早に部屋を飛び出しました。

 待合室でもう片方の入口を見ると青い暖簾がかかっていました。

 あ~そうだった。このホテルは男湯と女湯が月ごとに入れ替わる仕組みだったのです。

 これまで私が来たときは、たまたま男湯が左側の日が続いていたため、左側が男湯だと思い込んでいたのです。

 待合室の椅子に腰かけ、もしあのまま女湯に入っていたらどうなっていたのだろうと想像していると、男湯の暖簾の青よりも自分の顔の方が青ざめていることに気づきました。