社長歳時記 2025年6月

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「リベンジ?」

 国道をトラックで走っていると「萩へ」と書いた紙を手にした女性の外国人旅行者がヒッチハイクをしています。

 これは神様が前回、見守りしかできなかった私に挽回のチャンスを与えてくれたのだと、すぐさま停車しました。

 大きなリュックを背負った彼女に「バッグ、荷台、カモン」と思い付く単語を並べただけですが、ちゃんとリュックを荷台に置き、笑顔で助手席に座ったのです。
 しかし通じたのは最初だけで、意思疎通が難しいと感じた彼女はスマホの翻訳機能で、日本語に変換し読み上げ始めました。

 お陰で、彼女は日本の自然が好きで何度も来たことはあるけど、今回は萩にいるはずの両親に会うのが一番の目的だと理解できました。

 詳しい住所を教えてくれたら家の近くまで送ろうと伝えると、探している番地がグーグルの地図で検索しても該当場所がないといいます。

 それなら電話で連絡を取った方がいいというと、知っている番号は現在使われていないと肩をすくめました。

 あまりの情報のなさに呆然としていると、まだ他に伝えたいことがあるのかスマホに話し掛け始めました。

 私も翻訳された日本語に耳を澄ましていると、スマホの音声機能で流れてきたのが「これが私の持っている全ての情報です」と身も蓋もない内容でした。

 ところが私の落胆ぶりとは裏腹に、当の本人は自分で探すというジェスチャーをしながら「ノープロブレム」と笑い飛ばしています。

 結局、彼女を警察署の近くで降ろし、「ポリスに相談」とジェスチャーで伝え、最後にかけた言葉が「ファイト!」です。

 神様、私の拙い英語力でも、リベンジできるチャンスを与えてもらえませんか・・。