社長歳時記 2025年1月

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「玉子の思い出」

 お正月といえばおせち料理ですが、私的には玉子焼きに勝るものはありません。

 私の子供の頃、玉子は運動会か遠足にしか口にできないほど貴重で、スーパーマーケットのない時代でしたので、近所の駄菓子屋で買っていました。

 昭和40年代初頭は、玉子はパックではなくバラ売りの時代で、油紙の小袋に入ったたった2個の玉子の運搬ですが、小学生低学年の私には最も緊張するお使いでした。

 物価が今の4分の1程度だった時代に玉子は1個20円くらいと、今とは比べものにならないほど、高価な食材だったと想像しながら読み進めてくださいね。

 さて、ある日の夕飯時、3歳上の姉が箸で茶碗のご飯を一心不乱にかき混ぜています。 何を必死に混ぜているのかと気になり、横目で覗くと、白ご飯が黄色に染まっていました。

 この色にピンときた私は思わず「なんで姉ちゃんだけ、玉子かけご飯食べよるんか~!」と叫びました。

 その大声に3歳下の妹も、姉の茶碗を覗き込み「姉ちゃんだけ、ずるい!」と言い出し、食卓は騒然となりました。

 ところが肝心の姉は弟と妹の声に動揺する様子もなく、混ぜていた箸を止め、茶碗を見せながら少し呆れた顔で、こう言ったのです。

 「よう見いや。これ、カボチャよ」 カボチャの煮物を混ぜていただけなのに、玉子への憧れが強い私には、玉子かけご飯に見えたという、せつないお話です。

 きっと魔法をかけられたカボチャも、シンデレラは馬車に見えても、私たちには玉子にしか見えない気がする・・・。